弁護士さんよる法案解説(前編)


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弁護士さんによる法案解説 前編
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太田啓子弁護士によるミニ解説@コッカイオンドク!藤沢 を書き起こしました

 

太田弁護士

「テロ等準備罪と言うのは、政府として、愛称として言ってるんですね。なんとなく「テロ対策のために必要なのかな?」って思う人がいると思うんです。あたりまえです。でも、テロ対策のためではありません、ないんです。条文を見ても、テロ対策ではない。

 

政府は主に二つの理由からつくろう、と言っているんです。
一つはテロ対策として、ある国際条約があるんですね。国際組織犯罪防止条約。通称パレルモ条約と言うんですが、これに加入をするためには、この共謀罪法案が必要だと言っているんです。

 

でも、これ、嘘です。ほんと、嘘なんです。

 

この国際組織犯罪防止条約、いろんな国がはいるための立法整備についての立法ガイドをつくったアメリカの大学の教授が、この法律は、テロ対策ではありません、と言いました。マフィア対策なんですね。
だからすごく、とんちんかんなんです。なに言ってるのかな?と。
なぜテロ等準備罪、って言うんでしょう?


テロ対策なら、みんな、怖いですからね。私も怖いですよ。テロ対策と言えば、「それはいいかな?」と普通の人は思います。
この条文読んだら、テロ対策ではないことはすぐわかります。
嘘をつかれてるんで、だまされないようにしましょう!と言うのが、大事。

 

それから二つ目の理由は、「東京オリンピックのため」、と言われています。ほんとでしょうか?

違いますよ。
オリンピックはこの法律がなければ出来ない。そんなことだったら、はじめから東京に決まるわけがないじゃないですか。

 

そうでしょう?嘘なんですよ。

 

テロ対策、オリンピック、そういえば、多くの人が賛成する。そういうふうに思われて、なめられてるんですよ、すごく。私たち。
でもよく見れば、テロのためでもない、オリンピックのためでもない。


じゃあ、いったいなんのためにこの法律を作りたいのか。

 

そもそもこのテロ等準備罪、どういう法案なのか、何らかの犯罪をしようと組織的犯罪集団として、2人以上の人が合意をして、準備行為をした場合、資金の準備とか下見をしたら、処罰される。まあ、おおざっぱに言えば、こういう法律なんですね。対象になる犯罪はいくつあるかというと、犯罪の数も、ぶれぶれだったんですけど、今は277と言われています。

 

犯罪をしよう、って話し合うなんて、普通ないよ、と思いますよね?でも、冗談みたいに言うことはないですか?
また、自分が言ってる言葉が犯罪に該当するかもわからず、つい言っちゃうってことってありませんか?
みなさんも、1人や2人、嫌いな上司、いるでしょう?「あいつ、今度ボコりたいよな」とか「みんなでいこうか?」って、言うことありませんか?
また、著作権法違反も、結構つるっとやっちゃってるかもしれない、身近な犯罪です。
ネットにあふれているイラスト。
「これ、今度のクラスの運動会のTシャツにつかっちゃおうかな?フリーかな?」
「わかんないけどいいんじゃない?」
「でも、調べる?どうしよう」
「いいんじゃない??」
でも実際ダウンロードして、違法な著作権侵害をして、犯罪を犯してはじめて犯罪になる。これ、常識でしょう?

でも、話し合いだけで犯罪にしよう、これがテロ等準備罪ですよ。
でも、テロにもオリンピックにも全然関係ないでしょう?

 

あとは、ビジネスマンにもものすごく関係があります。


先日、この共謀罪法案に反対するビジネスロイヤーの声明というのが出されました。法人税法違反とか、所得税法違反とか、金融取引法違反とか、ビジネスの現場に関係のある法律もいっぱい含まれているんですね。
ビジネスの現場って、速度が命ですから、いろんな案をばーっと考えて、これ、やばくない?節税か?脱税じゃないか?って話し合う。アイデア出してる段階で、「脱税の共謀をしたろう」、と言われたら、どうしますか?

 

あり得るんですよ、そういうことが。

 

それから国会で話題になった話で、「準備行為」がなんだかよくわからない。条文にはね、「場所の下見」とか「資金の準備」とか、書いてあるんですよ。
「資金の準備」って、ATMでお金を下ろした場合、一見、資金の準備か、あしたの夕飯のお買い物か、区別がつかないわけですよ。そうでしょう?つかないですよ。


国会であったのは、こうです。ここで、座り込みをしよう、威力妨害罪やってやろう、って共謀をして、ここら辺で座ろうかなーって思ってぶらぶら歩く人がいるかもしれません。そこにたまたま桜が咲いてたら、どうでしょうか?花見かもしれませんね?


「花見」か、「犯罪の準備行為」かの区別をどうつけるか?国会である議員が聞いたらば、
大臣がなんていったのか、しってますか? 
「お弁当とお酒を持ってれば花見」だと。「カメラとか地図を持ってれば下見」だと。


そんなこといったら、犯罪だとしてもごまかそうと思って、とりあえずお弁当もっていこうとおもいますよね。それくらいばかばかしいことを国会で話し合っているんです。国会ですごくかしこい国会議員とか大臣が、レベルが高い人が話してると思ったら、全く違うんですよ!

 

・・と言うふうなことが議事録を見ればわかるんです、それを音読すればもっとわかりやすいだろう、と思いついた方がいて、これすごくいいな、って思って、今日、何人もの仲間と集まってやりました。

 

この共謀罪、なんかやばいな、と言う気がしませんか?やばいかどうか、わかんないけど、ちょっと考えてみたいな、と思いませんか?

そう思ったら、声を上げていただきたいんです。

なぜなら、今声を上げないと、もう遅いからです。

衆議院は、もう通ってしまいました。」

 

後編に続く